現在、サッカーのW杯が中東のカタールで開催されています。
私の世代でカタールといえば、1993年、日本が初のW杯出場をかけた試合で、誰もがW杯出場を確信していた中、ロスタイムに同点ゴールを入れられ日本は予選敗退となりました。
その「ドーハの悲劇」の試合が行われたのがカタールのドーハです。
カタールの面積は日本の秋田県ほどで、多くが砂漠におおわれた土地で夏季の気温は50℃にもなります。
有名な「アルジャジーラ」というテレビ局があるのもカタールです。
「アルジャジーラ」というと、テロリストの犯行声明に使われるテレビ局というイメージがあるかもしれません。
しかし、世界には偏った報道をするテレビ局が多い中、政治的な圧力を受けずに中立的な報道をする機関として非常に評価が高いテレビ局でもあります。
そして何よりカタールは、経済が急成長している国でもあります。
国民一人当たりのGDP(国内総生産)は日本円で1000万円を超え、日本の2倍近くあり中東では第1位、世界でも第8位です。
「ドーハの悲劇」の頃は、砂漠と岩山しかないような国でしたが、現在では砂漠の中に高層ビルが立ち並ぶとても裕福な国に成長しています。
その裕福さは、今回のW杯にも表れています。
W杯の開催費としては、2014年のブラジル大会が日本円で2兆1000億円と過去の大会では一番高かったのですが、今回のカタール大会は30~40兆円という桁違いの巨額な費用が投入されています。
スタジアム建設では、悪い報道もありますが、空調設備も整い、観客席は足元から冷房が出てくるほどの豪華さです。
そのカタールの裕福さの一因になっているのが天然ガスです。
生産量は世界トップクラスで、日本にも輸入されています。
しかし、中東や北アフリカには資源の豊富な国はたくさんあります。
資源が豊富なだけでは、経済は成長しません。
それらの資源をどのように利用していくか緻密な戦略を立てることが経済の成長につながります。
そこには、優秀な指導者の存在が不可欠です。
これは、中東の大国であるサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)にも共通しています。
カタールでは、その成長のカギを握ったのが7代首長であるハリーファでした。
カタールでは、もともと石油も多く採れました。
しかし、7代のハリーファ首長は、より高い競争力を得るために、石油に比べ採掘・輸出に困難な天然ガスに目を付けます。
天然ガスを、気体としてパイプラインで隣国に輸出するだけではなく、液体(液化天然ガス)としてタンカーで輸送する手段を日本などの技術協力を得て、世界中に輸出しました。
それによりカタールの経済は急成長しました。
現在、日本のエネルギー発電の80%近くは火力発電に頼っています。
その燃料の40%は天然ガスです。
日本は現在、電力不足で電気代が高騰しています。
ロシア・ウクライナ情勢もあり、エネルギーの調達は日本にとっては非常に大きな課題となっています。
しかし、そんな中、カタールとの間で多くの天然ガスを輸入できないかという交渉も進められています。
カタールとの関係次第で日本の電気代や物価も変わってくるかもしれません。
このように日本から遠いカタールでも、日本と密接な関係があります。
私は、マイティーでは理科と社会と担当していますが、地理や歴史を勉強していくことで、このような世界と日本の関係、そして現代の世の中が非常に見えやすくなってきます。
話は大きく変わりますが、11月上旬から中旬にかけて、中学生は期末テストが実施されました。
マイティーに通う中学生の中では、1学期と点数を比較すると、大きく点数を伸ばしたのは3年生に多く見られました。
1学期からは、5教科57点、46点と驚異的に点数を伸ばした生徒もいました。
3年生は、1学期は部活が忙しく、なかかな思うように勉強時間が取れなかったものの、部活動が終わり計画的に勉強できるようになったことと、明確に志望校の目標が定まり意欲的に取り組めたことが要因だと思います。
当然、勉強するということはテストや志望校に合格するというだけでなく、自分の世の中をきちんと見つめる目を養い、さらには生活を豊かにしてくれると思います。
W杯を観戦しながら、その国の特徴などを考えてみるのも面白いですね。
中学部主任 理科・社会担当 小澤
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